中小企業のM&Aのポイントは?

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  • 事業承継知識
  • 2021/03/11

中小企業のM&Aのポイントは?

中小企業のM&Aは増加傾向にあり、業種をまたいだ事例も多くなりました。コロナ禍による一時的な停滞はあったものの、体力のある企業はM&Aを積極的に再開しています。

中小企業庁の調査によると、M&Aを「良い手段だと思う」と回答した企業の割合は4割ほどにのぼり、かつて存在していたネガティブな意識も変化しています。後継者不足の課題解決や事業拡大などの目的でM&Aを検討中の経営者もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし中小企業にとって依然としてM&Aは馴染みの薄い手段です。この記事ではM&Aを検討中の経営者に向け、中小企業のM&Aの仕組みや流れを解説します。中小企業のM&Aを後押しするための「中小M&Aガイドライン」の内容も取り上げるので、自社施策にお役立てください。

中小企業の定義

中小企業の定義は中小企業基本法第2条第1項に定められています。各業種における資本金の額または出資の総額と常時使用する従業員の人数を以下の表に示します。

業種 資金の額・出資金の総額 従業員数
製造業その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下

中小企業のなかの小規模企業として扱われるためには、製造業その他の従業員数は20人以下、卸売業、小売業、サービス業は5人以下であることが必要です。

この定義は中小企業基本法を始めとした、中小企業に関連した基本政策に適用される原則です。その他の法律や制度のなかには異なる定義が用いられることもあります。

出典:中小企業庁ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html)をもとにGCAサクセション株式会社が作成

中小企業のM&Aの現状

中小企業のM&Aは総じて継続的な増加傾向にあります。ただし新型コロナウィルスや緊急事態宣言の影響による変化もみられました。中小企業のM&A増加に伴い、中小企業庁が作成した「中小M&Aガイドライン」の内容も併せて解説します。

現状と今後の動向予測

株式会社レコフデータは1985年から日本企業のM&Aに関する統計を実施しています。同社が公表したデータによると、2019年のM&Aは約4,000件でした。この件数は20年前と比較して6倍です。2006~2011年はリーマンショックや東日本大震災の影響もあり1,600件ほどまで減少しました。そこから上昇基調となり、2013年に2,000件超、2017年に3,000件超となり現在に至っています。

新型コロナウィルスや緊急事態宣言による影響で積極的な投資が見送られ、M&Aの成立件数は減少しました。しかしコロナ禍によって活況を呈しているEC事業やネット広告事業などにおいては、すでにM&Aによるビジネス拡大の動きも確認されています。

中小企業M&Aガイドラインの策定

中小企業庁は2020年3月に「中小M&Aガイドライン」という文書を公開しました。中小企業に向けて第三者への事業引き継ぎを円滑に進めるための各種方法や進め方を手引きするためです。また中小企業のM&Aをサポートする業者、支援機関などに向けてのガイドラインも示されています。

中小M&Aガイドラインは2部構成になっています。第1章は売り手である中小企業向けの手引きです。M&Aの事例や従業員・取引先への基本姿勢、M&A成立までの流れなどが解説されています。

第2章は中小企業のM&Aをサポートする業者、支援機関向けの内容です。依頼者の利益を最大化する役割や基本姿勢、M&A専門業者が取るべき各ステップでの行動指針などが示されています。M&Aに関わる業者が網羅されているため、どのような専門家を選定するべきかについての資料としても活用できるでしょう。

中小企業におけるM&Aの目的

中小企業がM&Aを選択する目的は事業承継、廃業回避、事業拡大、資金調達の4つに分類可能です。それぞれの目的を選ぶ中小企業の特徴や用いられる戦略などについて解説します。

事業承継

後継者不足の問題を解決する方法として、M&Aによる事業承継を選ぶ中小企業は増えています。超高齢化社会の日本においては、黒字であるにも関わらず廃業・倒産する企業が少なくありません。経営者だけではなく従業員を守るためにもM&Aによる後継者探しは有効な方法です。

これまで培ってきたノウハウや知識などに価値があれば、売却金を得ることもできます。シナジーを有する良い相手先を探すことができれば、事業を継続できるだけでなく業績改善や拡大へとつなげられます。

廃業を回避

廃業を回避するために業績不振部門を切り離す方法としてM&Aを選択する中小企業もあります。業績悪化、業績不振が続いており自力での再建が難しいものの、廃業は避けたい企業が取る方法です。

債務超過であっても買い手からみると価値ある事業用資産を所有している企業は少なくありません。たとえばアフターコロナで事業拡大が見込めるものの経営体力的に維持が難しく、そのままでは中核事業も共倒れになってしまう企業があります。このようなケースでは大企業・中堅企業に一事業を買収される形をとるなどにより自社の存続が図れます。

事業拡大

自社の成長戦略として自社にはない技術や分野や人材をM&Aで確保する方法です。事業の多角化を図る場合などでも効果を発揮します。

同業他社を買収することにより、業界内でのシェアを拡大するためにもM&Aは用いられます。またビジネスの基盤のない海外において、短期間に事業を軌道に乗せるためにもM&Aは有効です。

資金調達

資金調達の目的でM&Aを選択するケースでは主に2つの理由があります。1つは経営者が引退後の生活資金を調達するために株式などの売却益を得るためです。資金がなく工場を解体できないなどの理由で、M&Aによる譲渡を選択する中小企業も増えています。

もう1つは企業全体の経営状態が悪い場合に、赤字事業を売却して経営体力を回復させるためです。現在赤字であっても、事業内容に魅力があれば買い手が見つかる可能性があります。

中小企業M&Aの進め方

ここでは、中小企業M&Aの進め方を各ステップごとに解説します。ここで解説する流れは一般的なケースですが、ガイドラインなどでステップが厳格に決められているわけではありません。用いられるM&Aの手段や戦略により前後する場合があります。

1.目的の明確化・戦略決定

M&Aによって何を達成したいか決定します。先に解説した事業継承や資金調達などの目的を明確化しましょう。中小企業がM&Aを行う際には、通常M&Aの専門家を選定します。

取るべき手法や戦略の詳細は専門家に相談、委任が可能です。そのためこのステップでは何を失ってもよいか、何を残したいかを部門や事業、経営資産などに落とし込んで明確にしておきます。

2.M&A専門家の選定

M&Aでは法律や財務などで専門的な知識が求められるため、M&A専門家に依頼するのが一般的です。M&Aの時期が遅れることで選択が狭まるリスクもあるため、意思決定をサポートしてくれる専門家にまずは相談しましょう。

条件の良い相手先企業を見つけるためにも、M&A専門家が持っている情報とノウハウが重要です。

3.アドバイザリー契約・秘密保持契約

M&A専門家を決定した後に行うのが、業務範囲や報酬に関する契約であるFA(ファイナンシャルアドバイザリー)契約です。またNDA(秘密保持契約)も同時に結びます。

契約前に専門家の実績、他社との違い、契約期間、業務範囲や権限などを費用対効果に即して吟味しておきましょう。なお、見逃されがちですが、FA契約をいつでも解除できるかどうかは非常に重要です。一部の専門家で一定期間(2~3年)の契約解除が不可能な契約雛形を用いている場合がありますが、今後の選択肢を狭めるそのような契約は論外となります。

4.M&A戦略の決定

株式譲渡や事業譲渡などM&Aの戦略はさまざまです。M&Aの相手によって最適な戦略が変わることもあるので、M&A専門家の意見を取り入れながら意思決定を行っていきます。

戦略決定にはソーシング(情報収集)と相手企業とのシナジー有無(適合)が重要です。プロセスの中盤以降は、弁護士や税理士への相談も必要になります。

5.買い手候補企業の選定

M&Aの相手としてどのような買い手が相応しいか、候補となる企業をリストアップします。買い手候補先としては、同業種のほか、対象事業への参入を企図している異業種なども考えられます。同業他社や関係の近い取引先など、打診を行わない方がよい会社がある場合には予めアドバイザーに伝えましょう。
候補先の選定に当たっては、買い手候補とのコネクションも重要となるため、国内外あらゆる企業へのネットワークをもつアドバイザーを選定すると、M&Aの相手先候補がより広がります。

6.M&A打診

相手企業の候補を決定したらM&Aの打診を行います。初めは企業の概略のみを記載した「ノンネームシート」を提示し、会社名を伏せたまま買い手候補に初期的な検討をしてもらいます。さらに詳しい情報を求められた際には「ネームクリア」を行います。ネームクリアとは秘密保持契約を結んだうえで企業名を始めとした詳細な情報を新たに提示することです。

M&Aの情報が漏えいすることで取引先や金融機関、従業員などに不信感を与えることもあるので慎重に打診を進めましょう。

7.企業概要書の提示

企業概要書は事業内容や業績などの正確な情報が記述された資料であり、M&Aの契約に必須です。経営状況についての分析を提示することもあるため、改めて自社の現状を把握することにも役立つ文書です。書類作成は、M&A専門家に支援してもらうことが一般的です。

8.トップ同士の面談

売り手と買い手企業の経営者が初めて面談するステップです。形式的な挨拶になるケースもありますが、中小企業の場合は交渉の土台となる具体的な意見を交わすこともめずらしくありません。

たとえば経営理念を詳しく伝えることやM&A成立後の大枠について話し合います。トップ同士の面談は信頼構築の第一歩となるため、中小企業のM&Aにおいては重要なステップです。

9.意向表明書の提示

トップ面談の調整に入る前に、買い手企業が売り手企業に対して意向表明書を提示します。これは事業の譲り受け、会社買収の意向があることを正式に表明するためです。ただし法的な拘束力はないため、必ず提示されるわけではありません。

売り手側は意向表明書の提示を促すことで、交渉を先に進めることができます。M&Aを成立させるまでの期日が迫っている場合などで有効に活用できるでしょう。

10.基本合意書の締結(相対交渉の場合)

基本合意書は主要な条件で合意したことを相互に確認する目的で作成される文書です。通常、独占交渉権が発生し、売り手企業は基本合意書を交わした買い手企業とのみM&Aの交渉を進めることになります。

基本合意書を締結すると、契約を前提とした具体的な交渉に入ることになり、この点において意向表明書より拘束力が強い文書です。交渉の結果にもよりますが、主要な条件は最終契約に近い内容になります。

但し、「複数の買い手候補先から条件を提示してもらう入札形式でM&Aを進める場合には、この段階で基本合意書を締結することはなく独占交渉権も付与しないことが一般的」です。入札形式においては、自社の選択肢の幅を狭めず、複数企業と自社の相性・条件を吟味するためにも、複数企業を相手にデューデリジェンスに進むためです。

一般的に、売り手企業と買い手企業の双方と契約を締結するM&A仲介業者の場合は、相対交渉が前提となり、早い段階で一社と独占交渉権を付与して交渉を進めます。他方、代理人型アドバイザー(売り手企業の専属アドバイザー)の場合は、入札プロセスにより最後の段階まで複数社と交渉を進めます。進め方の違いをよく理解して専門家を選定しましょう。

11.デューデリジェンス(買収監査)

デューデリジェンス(買収監査)は売り手企業が提示した財務状況や事業内容について、専門家に依頼して鑑定してもらうステップです。

通常買い手企業が財務・法務・税務などにおいて、M&A専門家や士業などの専門家に依頼して調査を実施してもらいます。

12.最終譲渡契約締結・クロージング

デューデリジェンスを経て最終譲渡契約の交渉へと進みます。譲渡価格や、買い手がデューデリジェンスで検出した問題への対処方針などに関して交渉を行い、合意した内容を最終譲渡契約書へ反映の上、契約締結となります。

クロージングは、例えば現金対価の株式譲渡である場合には、売り手の口座への譲渡対価の振り込みや、株主名簿書換請求書の引き渡し等のM&Aが完了するために必要な手続きのことを言います。一般的には最終譲渡契約で重要な取引先の契約承継の同意や、業法上の許認可の取得など、クロージングまでに必要な条件が規定されており、クロージング条件を満たして初めてM&A成立となります。

13.経営統合作業

M&Aが成立した後は経営統合作業へと進みます。これはPMI(Post Merger Integration)とも呼ばれるステップです。

M&Aを最終的に成功させるには経営統合作業からが本番であり、業務負担も大きくなります。経営統合作業に入る前のステップにおいて準備できることは進めておきましょう。

まとめ

日本におけるM&Aは増加傾向にあります。中小企業においては後継者不足の背景もあり、M&Aによる事業承継や廃業回避などの案件が増えています。M&Aには多くの手法や戦略があるため自社に最適な選択を行いましょう。専門的な知識や多角的な視点が必要となるため、信頼できるM&A専門家に相談することが重要です。

GCAサクセションはM&A経験10年以上のプロフェッショナルが多数在籍する代理人型アドバイザー(企業オーナー専属アドバイザー)です。経営理念は「For Client’s Best Interest(クライアントの最善の利益のために)」、両者の間に立つ仲介型と異なり依頼者の利益を最大化します。上場・非上場を問わず相乗効果(シナジー)が期待される有力企業を、幅広く全国から抽出することによる最適なマッチングを実現できるのもGCAサクセションの強みです。無料個別相談を受け付けているため、ぜひお問い合わせください。

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