事業承継とは?問題点やリスク、3つの構成要素、相談先の選び方など基礎知識を解説

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  • 事業承継知識
  • 2021/01/12

事業承継とは?問題点やリスク、3つの構成要素、相談先の選び方など基礎知識を解説

高齢化が進む日本では、事業承継は今やどの中小企業にとっても大きな課題となっているといっても過言ではありません。従来のように経営者が一人で悩むのではなく、専門家に相談しながら早期に準備を進める必要があります。

スムーズに事業承継を進めるためには、基本的な知識を持ったうえで信頼できる相談先を選ぶことが大切です。

そこで、この記事では事業承継の基礎知識や事業承継が必要な理由、事業承継の具体的な方法、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

事業承継で押さえておくべき注意点や、進めるうえで迷いやすい相談先を選ぶ際の重要ポイントも併せて理解しておくと良いでしょう。

事業承継とは?

事業承継とは、企業を現在経営している代表者が後継者に経営を引き継ぐことです。

経営者が築き上げた、事業に関わるすべての経営資源は後継者に継承されます。ここでは、なぜ事業承継が必要なのか、「事業承継」や「事業譲渡」との違いは何かについて説明していきますので基本を押さえておきましょう。

事業承継が必要な理由

近年、経済の基盤である中小企業の重要課題として、経営上の問題がなくても後継者がいないために廃業を検討するケースの増加が挙げられています。
培われてきた技術やノウハウの消失を避けるためには、事業承継を実現して確実に次の世代に引き継いでいかなければなりません。

経営者の交代率は長期に亘って減っており、これは経営者が長く交代していないことを表しています。つまり、経営者の高齢化が進んでいるため、中小企業庁は今後事業承継の必要性が高まっていくと予想しています。事業承継には期限がないので、早期に準備を始めて進めていくことが重要です。

事業承継と事業継承の違い

「事業承継(じぎょうしょうけい)」と「事業継承(じぎょうけいしょう)」はよく似ている言葉です。しかし、使われるときの意味合いは異なるので押さえておきましょう。

事業継承は先代からの権利や財産、事業などの具体的なものを受け継ぐことです。事業承継の場合は、これに加えて精神的・文化的なものなどもすべて受け継ぐという意味合いで使われています。

そのため、事業を先代から引き継ぐ場合は「事業承継」を使うのが一般的です。

事業承継と事業譲渡の違いとは

事業承継と混同しやすい言葉には「事業譲渡」もあります。

事業譲渡は、必ずしも企業の有形・無形資産のすべてを譲り渡すわけではありません。事業承継とは異なり、企業の一部のみを譲渡する場合もあります。事業譲渡は会社法に沿って進められるため、経営者は決定事項について後継者とのやりとりが必要ないのも事業承継との相違点です。

ただし、事業規模にもよりますが、株主総会の特別決議が必要な事業譲渡はコストがかかるうえに、株主が了承しなければ譲渡を進められないというリスクもあります。

事業承継の問題点やリスクとは

事業承継にはいくつかの問題点やリスクも挙げられています。事業承継の実現に向けて準備を進める前に一通り知っておけば、問題点にも対処できるでしょう。

ここでは、分かりやすいよう問題点やリスクを簡潔にまとめました。

中小企業の事業承継における問題点

ここでは後継者や経営者、相談先など事業承継の課題とされている点について説明します。

後継者の不在・育成不足

経営者の高齢化が進む昨今では、早期に後継者を決めておく必要がありますが、依然として事業を引き継ぐ適任者が不在という企業が少なからずあることが問題視されています。

従来のような親族への事業承継は、時代の変化とともに減ってきているのが現状です。
事業承継を経営者の子どもの義務ととらえる考え方は次第に減り、自由に職業を選ぶ風潮へと変わってきました。企業内の人材を育成していくには多くの年月を要しますが、実際には育成できていないケースが多数と言わざるを得ません。

そもそも、経営者としての資質を持つ人材を確保するのも難しい課題であるため後継者不足は深刻です。

相談者がいない

事業承継を検討している中小企業の経営者に対し、国は事業引継ぎ支援センターなど公的な相談機関を設けています。また、民間の金融機関や専門家に相談する方法もあります。

しかし、現実的には事業承継を進めるうえで必要な切れ目のない支援になっているとは言えません。

単発的な相談だけでなく、経営者が求める「事業承継の進め方や流れ」を一元的に行うような相談者が身近にいない点も問題でしょう。

承継時の経営状態など

事業承継を進めるにあたり、企業の経営状態が悪化している場合にはさまざまな問題点が出てきます。

現経営者が後継者を指名したとしても、場合によっては資産だけでなく負債も引き継ぐことになるので断られる可能性もあるでしょう。

事業承継の準備を始めるのであれば、承継時の社会情勢や経営状況についても予想しておく必要があります。

事業承継のリスク

事業承継には負債や個人保証も引き継ぐリスクもあります。また、経営を引き継いだ後のリスクや相続に関するリスクも考えられるので、一つずつ説明していきます。

負債・個人保証も引き継ぐ

中小企業が設備投資などによる多額の負債を抱えている場合は、後継者にとってリスクになります。

また、現経営者の「個人保証」も引き継ぐことになる点に注意が必要です。個人保証は、経営状態により企業の信用の他に経営者個人の信用も加えるものです。そのため、負債額が大きい場合や長期にわたる赤字の場合には、金融機関から「後継者へ個人保証も引き継ぐこと」も求められます。

後継者への周囲の理解(対立がないか)

事業承継により経営を引き継いだ後継者は、従業員からの理解が得られず対立する可能性もあります。

たとえば、経営者の子どもが後継者となったときに、時代に合った経営方針に転換したくても従業員から反対されるようなケースです。後継者が若い世代の場合に起こりやすいため、従業員の理解が得られるように努めなければなりません。

相続では遺留分を主張される可能性もある

親族を後継者にしたい場合、現経営者が後継者を指名して遺書を作成しておけば企業が持つ資産を相続させられます。

ただし、相続人が指名した人以外に複数存在する場合、残りの親族からの「遺留分」を主張されるケースもあります。遺留分は親族が本来受けることができる権利で、請求されれば企業の資産が減り経営に影響を及ぼすことにもなりかねません。

事業承継の3つの構成要素

事業承継には「経営」「資産」「知的財産」という3つの構成要素があります。事業承継を進めるうえで欠かせない要素として、それぞれについて解説します。

経営の承継

経営の承継は、企業の「経営権」を引き継ぐという重要な要素です。経営者が積み上げてきた経営の方法などを後継者が承継するのは簡単なことではありません。

また、誰が適切な後継者なのかを見極めるのも時間がかかります。そのため、経営の承継には十分な準備期間が必要です。

問題提起されている後継者不足を踏まえると、M&Aなどによる外部への事業承継を検討していく方法が問題解決への道として有力視されています。

資産の承継

資産の承継とは、事業用の資産だけでなく債権や自社株など事業を行うために必要な資産を引き継ぐことです。資産の承継で注意すべきは、資産額によって贈与税や相続税がかかってくる点です。

事業資金が少なくなる不安もあるため、後継者は税負担の軽減のために資産を分散して承継する方法も視野に入れなければなりません。また、資産の承継には「負債」「保証関連」についても行う必要があるので、準備段階から専門家に相談することが大切です。

知的財産の承継

企業にとっての知的財産とは、目に見える資産以外の「ブランド」や「経営理念」のほか、人材や顧客、技術といった無形の資産のすべてを言います。

目には見えなくても企業の知的財産は経営の強みになっているため、漏れなく後継者に引き継ぎをしておかなければなりません。それには、現経営者が事業承継を検討する段階で自社の強みを明確に把握しておくことが重要です。

そのうえで後継者など承継に関わる人々に伝えると、知的財産について共有できスムーズに引き継ぐことが可能になるでしょう。

事業承継の方法とそれぞれのメリット・デメリット

事業承継には従来から行われてきた親族内承継のほかに、社内承継やM&A、株式上場、信託による方法があります。ここでは、それぞれのやり方やメリット・デメリットについて説明します。

親族内承継

経営者の子どもなどの親族に企業を承継するのが親族内承継です。
親族を後継者にするのは従来から多く行われてきた方法で、経営者は自分の積み上げてきたものを身内に引き継いでもらえるので安心感が得られます。

一方で、負債も引き継ぐことになる「生前贈与」をする場合、資産価値によっては贈与税の負担が大きくなるというデメリットがあります。
「相続」する場合は、ほかの親族にも資産を受け取る「遺留分」の権利があるため、請求されれば後継者が全部相続できない点にも注意が必要です。

社内承継

経営者が企業内の人材に経営を引き継ぐのが社内承継です。

企業の特徴や経営方針に詳しいため、従業員からの信頼を得やすいというメリットがあります。しかし、親族以外の人に承継するためには株式を買い取る必要があるため、企業規模によっては多額の資金が必要になるのは大きなデメリットと言えるでしょう。

負債を引き継ぐことになる点も、後継者に指名された人にとってはリスクになります。

M&Aによる事業承継

M&Aは親族や社内に後継者として最適な人材が見つからない場合に、第三者に企業を引き継ぐ方法です。
M&Aは自社株を売買するため、企業価値に応じた利益が手元に残るというメリットがあります。

引き継ぎ先となる第三者は譲受対象となる企業との事業シナジーを見込んでM&Aを実行するため、両社にとって事業を発展させる機会ともなります。

M&Aでの引き継ぎをする場合、引き継ぎ先への株式譲渡に伴い経営権が移動します。そのため、譲渡後の経営への関与の仕方や従業員の雇用の維持等について、現経営者が希望する条件を明確にしておく必要があります。

株式上場による事業承継

企業が持っている株を証券市場に上場して企業価値を上げ、株を投資家に買ってもらうという事業承継の方法もあります。
経営と資本を分けられるうえに、資金を調達する手段にもなるというメリットが得られるのは魅力です。

しかし、実際には株式の上場には厳しい審査があり、準備にも年単位での時間がかかるため、中小企業にとっては現実的な方法とはいえません。

信託による事業承継

事業承継にも「信託」を活用して資産の移転を行う方法があります。なかでも、経営者が死亡した場合に株式を承継する「遺言代用信託」は、遺言に変わるものとして注目されている事業承継です。
信託を受けた後継者が、確実に経営権を承継できるメリットがあります。

また、経営者が死亡すると同時に後継者が事業承継できるため、経営に空白期間が生じません。ただし、民法や税務関連が分かりにくいこともあるので、早い時期に専門家に相談する必要があります。

事業承継は早めに取り組んだ方が良い

2016年の日本政策金融公庫総合研究所の調査により、中小企業約4,000社のうち60才以上の経営者の半分ほどが廃業予定であることが分かりました。

子どもに職業選択の自由がある昨今では、はじめから親族に継がせる意思がない経営者も増えています。「継がせたい子どもや親族がいない」ケースと「適当な後継者がいない」という回答を合わせると、3割近くに上っているのが現状です。

将来的な経営への不安から事業承継をリスクと捉えてしまい、廃業を検討する動きもあるのではないかとの見方もあります。

この調査では調査企業の約3割は業績良好で、約4割が今後10年間は現状維持が可能と回答している点に注目すべきです。
日本を支えている多くの企業が持つ貴重な技術や知的資産は、確実に承継していかなければなりません。雇用の維持や地域の発展のためにも、早い段階から事業承継について検討し準備を始めることが重要です。

事業承継は誰に相談するべき?

いざ事業承継をしようと思い立っても、初めて事業承継に取り組む方はそもそもどこに相談すればよいか迷ってしまうことでしょう。特に、M&Aによる事業承継では、企業を引き継いでくれる第三者を探す必要があります。M&Aの業務委託先には「仲介型」と「FA(フィナンシャル・アドバイザー)」の2種類があり、それぞれ事業承継における交渉形態が異なります。信頼できる相談先を選ぶ際に、それぞれのサービス内容を知り、どちらの手法が自分の会社に合っているかによって最適なアドバイザーを選びましょう。

仲介型による事業承継

仲介型による事業承継では、仲介会社が売り手と買い手の間に入り、中立的な立場でM&Aの成立を目指します。譲渡・譲受価格や規模、業種など双方の要望を考慮し、売り手と買い手をマッチングさせ、条件の調整・交渉を行います。

FA(ファイナンシャル・アドバイザー)による事業承継

FA(ファイナンシャル・アドバイザー)による事業承継では、売り手と買い手それぞれにアドバイザーが専属でつきます。M&A仲介会社が売り手と買い手双方の利益・条件のバランスを重視しているのに対して、FAは売り手または買い手の利益が最大になることを目指して交渉を進めます。

【まとめ】事業承継を検討している場合には早めの行動が吉!

多くの中小企業では、「後継者が見つからない」「事業承継のやり方が分からない」といった理由から事業承継が進まないという課題を抱えています。蓄積された企業のノウハウを無駄にしないためにも、親族内承継、社内承継、M&Aによる事業承継といった複数の承継方法を検討するとよいでしょう。

すでに検討している段階であれば、早めに行動することが重要となります。その際には、事業承継先や希望条件に関して最適なアドバイスがもらえる相談先を選びましょう。

GCAサクセションは、FAによる事業承継をご提供しています。専属のアドバイザーがM&Aをサポートし、事業承継に悩む皆様が満足する条件で交渉・制約できるよう尽力します。事業承継にお悩みの場合には、是非一度お気軽にご相談ください。

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